メンバー全員が55歳以上のシニア劇団が、静岡県浜松市を拠点に活動している。新型コロナウイルスの影響で活動を休止していたが、2年ぶりの公演に臨んだ。
発生練習 「え!お!あ!お!さ!け!」
浜松市中区にある公会堂。この場所を拠点に2年ぶりの公演に向けて、ある劇団が練習に励んでいた。
◆第2の人生 劇団で夢かなえて
名前は「シニア劇団浪漫座」。メンバーは全員55歳以上で、現在は女性11人が在籍。子育てを終えたり仕事を退職したりした人もいるが、メンバーの半数以上は仕事をしながら時間を作って活動している。
メンバー:
いろいろ演じることによって自分を出せる。なりたい自分になれるというか。
別のメンバー:
友達がまずできた。みんないい人ばかりだから和気あいあいとできるし、衣装作ったりできるし、とにかく全部たのしい
劇団では最高齢となる80代のメンバーも前座を務めるなど活躍していて、メンバーも募集している。
浪漫座は11年ほど前、静岡県西部を拠点に舞台演出や脚本家として活動する、松尾朋虎(まつおともこ)さんの呼びかけで結成された。
演出・松尾朋虎さん:
この劇団を立ち上げた一つのコンセプトは「夢を叶えるシニア劇団」。第2の人生を歩んでいる人が多いので、もう1回夢を芝居という形ではあるけれど達成してほしい
豊かな表情で楽しそうに演じているのは、阿部美幸さん(64)だ。ヤクルト製品の宅配の仕事をしている阿部さんは4年前に入団。今年から座長を務めている。
座長・阿部美幸さん:
とにかくみんながやっていて楽しいという気持ちが持てるのが、いまのシニア劇団なので、とても楽しいです
浪漫座は春は高齢者施設や障害者施設を訪問して、歌や踊りなどを披露。秋はホールで公演を行うなど精力的に活動してきた。
しかし新型コロナの感染拡大で、活動は一転。結成10年となった2021年4月から、活動休止を余儀なくされた。
座長・阿部さん:
当たり前のことが当たり前ではないと、しみじみ思った。自分の役目はなんだったのだろうと思うこともあった
◆新たな取り組み トークや体操をライブ配信
メンバー 「みなさんこんにちは。シニア劇団浪漫座です」
公演ができなくなった中で、2021年10月から新たな取り組みを始めた。
YouTubeに「浪漫座チャンネル」を開設。メンバーのトークを交えながら体操や発声練習、歌や踊りなどを月1回ライブ配信している。
◆2年ぶりの公演へ 最終練習
2年ぶりとなる公演の3日前。この日は最後の練習となった。演目は「THE クレイジーキャッツ」。透明になってしまったネコを元に戻すため、ネコにふんしたメンバーたちが仲間を信じて助け合う作品だ。
(練習の様子)
ネコの勘太郎役 「何言ってんだよ、その役目はおいらが」
別のネコ役 「勘太郎!あんたのネコダンスがなければ、ロケットは手に入らないんだよ!」
何度もセリフや動きのタイミングを確認しながら、最終調整をおこなった。
演出・松尾さん 「喜怒哀楽をしっかりやってくれれば、この芝居は成功します。遠慮しないで思いっきりやった方が上手くいくようになっているのでお願いします」
座長・阿部さん:
2年ぶり待ちに待った日なので、私たちも楽しんで、みなさんにも楽しんでもらって、元気になってもらいたい
◆いよいよ本番「やっぱり泣けた」
そして迎えた本番当日。客席にはこの日を待ちわびた多くのファンの姿が。用意された約200席はほぼ完売となった。
座長・阿部さん 「じゃ、久しぶりの公演楽しんでいきましょう。オー!」
いよいよ幕が上がりました。
(冒頭のシーン ネコたちのやり取り)
「ちょっと、何やってるのよ」「何よ、いいじゃない」「やめだ、やめだ」
衣装や小道具はメンバーの手作り。客席からは笑い声や手拍子も響くなど、反応は上々だ。
公演に向けた稽古の中でセリフを忘れてしまうメンバーもいたが、他のメンバーが教えてあげたりアドリブで乗り切ったりする場面も。
そして浪漫座の魅力が詰まった公演は終盤に入り、心の葛藤を描く見せ場のシーンへ。
(透明になってしまったネコを助けるため「月のエキス」を求めて月に来たネコたち。元の姿に戻ったもののロケットが壊れてしまい、地球に帰るには誰かが月に残ってロケットを押さなくてはならない。地球でダンスを披露してお金を貯め、再びロケットを手に入れて月に救出しに戻る計画なのだが…)
ネコの勘太郎役 「その役目はおいらが」
別のネコ役 「勘太郎!あんたのネコダンスがなければロケットは手に入らないんだよ!」
何度も練習をした、セリフのタイミングも決まり、笑いと感動を届けた約1時間の公演は、拍手に包まれながら幕を下ろした。
観客:
とても元気をいただく。みんな生き生きと演じているので
子供:
めちゃくちゃおもしろかった。みんなが踊っているところで、めっちゃ楽しいと思って、自分も参加したいと思った
公演を終えたメンバーの顔は安堵と達成感にあふれていた。
メンバー:
やっぱりお客さんの笑い声とか拍手はすごい力になるね。
別のメンバー:
絶対私は最後泣かないと誓ってきたけど、やっぱり泣けた
座長・阿部さん:
毎年毎年必ず公演できるものだと思っていたのが、コロナで練習もできない、本番もできない。当たり前のことがどれだけ大切なことか、きょうを迎えてつくづく思っている。ありがたいです
2年ぶりの公演を、無事成功させた浪漫座のメンバーたち。お客さんからもらったたくさんの元気を糧に、これからも楽しみながら稽古を続ける。
からの記事と詳細 ( 夢を叶えるシニア劇団 最高齢は80代 コロナ禍で2年ぶり公演は「やっぱり泣けた」 - www.fnn.jp )
https://www.fnn.jp/articles/-/299471
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