元4団体の世界ミニマム級チャンピオン高山勝成(37=寝屋川石田)は27日、大阪市のエディオンアリーナ大阪第2競技場でWBC世界ライトフライ級11位の小西伶弥(27=SUN-RISE)と6回戦を行い、3-0の大差判定勝ちで4年4ヵ月ぶりのプロ復帰戦を飾った。
ブランクによる衰え、切れやすい両まぶた、コロナ禍で2度に及んだ延期の影響――。すべての不安材料を払拭して、37歳・高山がプロのリングに帰ってきた。開始ゴングとともに右へ左へと快速フットワークで旋回。そのスピードは、チャンピオン時代を上回るほどだった。小西の前進を華麗にさばきながらジャブ、右ストレート、左フックと多彩なパンチを叩き込む。なおも小西が距離を詰めてボディを攻めてくれば、ボディ連打を倍返し。芸術的とも言いたくなるコンビネーションで10歳年下の世界ランカーを寄せ付けず、最終回は右を矢継ぎ早に突き刺して棒立ちにさせた。判定は59対55が2人に60対54が1人。「すべて想定内だった。練習どおりできなかったのは自分の実力」と、小西は完敗を認めた。 「とても楽しい6ラウンドでした」と高山。「この動きができたのも、日々のトレーニングの積み重ねです」と、延期で長引いた調整期間もプラスに変え、6ラウンドの戦いながらも進化を証明。東京五輪の夢こそ逃がしたものの「1ラウンドからのアップテンポな動きだったり、頭の位置だったり」と、アマチュアで得た経験も、しっかり自分のものにしてきた。 「いまの自分はノーランカー。まずは世界ランキングに入らないことには始まらない。試合を受けてくれた小西選手に感謝したい」と高山はリング復帰の喜びを語るとともに、2021年は世界に乗り出していくことを明言。2階級制覇を目指し、ライトフライ級王者への挑戦を望んだ。「忘れてきたものを取り戻しに行く」高山の新たな戦いは、いま始まったばかりだ。 文/藤木邦昭 写真/太田裕史
ボクシング・マガジン編集部
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