
20年間、連載を持てずにきた漫画家のエッセー作品が、ツイッター上で話題を呼んでいます。テーマは、チャンスをつかめず、絶望していた時期に見た「夢」。有名人の生き様に勇気を得て、希望をつなぐ筋書きが、広く共感を集めているのです。創作の経緯、そして「好き」という気持ちを諦めない秘訣(ひけつ)について、作者に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人) 【漫画はこちら】「トゥットゥルー♪」あのかけ声が聞こえてくる!漫画家救った「しょこたん」の行動とは?
なぜか階段で漫画描く「しょこたん」
話題を呼んだのは、全3ページの「漫画家の泣くとき」です。 主人公の漫画家は、長らく作品を生み出し続けてきました。しかし、仕事が軌道に乗りません。年齢ばかり重ねてきたけれど、とうとう辞めるべきタイミングがきたのかもしれない――。ある日、絶望感にさいなまれながら、寝床に就きます。 その夜、不思議な夢を見ます。上階へと続く階段で、芸能人の「しょこたん」こと中川翔子さんが、なぜか漫画を描いているのです。「とぅっとぅるー♪」。生き生きとしていて、何だかとても楽しそうに思えました。 「もう 漫画を描かなくなるのか」。中川さんと対照的に、創作を諦めようとしている自分。胸いっぱいに悲しみが湧きだし、漫画家は涙を流します。目覚めた後も、やはり泣いていました。 「自分に泣かれたら しょうがない」。漫画家はペンを動かし続け、約10年後、念願の初連載を実現します。しかし、商業的な成功を収められなかったことが明かされるのです。 では、職業を捨てたのか。そうではありません。最後のコマには、夢の中の中川さんと同じポーズで作業机に向かう、主人公の姿が。そして、こんなモノローグで物語が締めくくられます。 「今も楽しく描いています」
20年連載できない中で得た希望
「自分への問いに、自分が答えてくれる感じがいい」「とても素敵」。漫画には好意的な感想が数多く寄せられました。更に1万3千以上の「いいね」が集まり、リツイート数も2千回を超えています。 作品に盛り込んだエピソードについて、「大切な記憶」と語るのは、石川聖さん(@ishikawasei)です。代表作に、人間の生首に見える不思議な生き物「ニューモン」と、少年との交流を描いた『人間入門』(講談社)があります。 石川さんは2000年、青年誌の漫画賞で佳作に輝きます。以降、6本の読み切り作品を世に出しました。しかし、10年ほど連載が決まらず、大成への思いを温め続けたそうです。漫画に記録した出来事が起きたのは、そんな時期でした。 「30歳を過ぎた頃だったでしょうか。当時は『芽が出ないまま30代になったら、漫画家の道を諦める』との風潮を感じていました」 「そう考える要因となるような、具体的な体験をしたわけではありません。だからこそ、自分で区切りを付けねばならない苦しさがありました」 一方で、中川さんの活動を、特に追ってきたわけではないと話す石川さん。しかし、過去に中川さんが手掛けたイラストを見た際、強いエネルギーを感じたそうです。 その鮮烈な印象が、階段で絵を描くことに没頭する、夢の中の彼女を生み出したのかもしれない。そう解釈しているといいます。
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