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Thursday, April 14, 2022

「CRIMESIGHT(クライムサイト)」レビュー - GAME Watch

 KONAMIは、PC(Steam)用対戦ミステリーシミュレータ「CRIMESIGHT(クライムサイト)」を4月15日に発売する。価格は2,200円(税込)。

 本作は、AI技術の発達により凶悪犯罪の予測が可能となった2075年のロンドンが舞台のオンライン対戦ミステリーゲームだ。プレーヤーはこれから起こる“世界を破滅に導く殺人事件”を、犯罪捜査AI「Sherlock(シャーロック・ホームズ)」と共に阻止する、もしくは犯罪計画AI「Moriarty(ジェームズ・モリアーティ)」と共に成就させるかを目指して頭脳戦を繰り広げることとなる。

 本作の世界観監修には「428 ~封鎖された渋谷で~」、「新サクラ大戦」などを手掛けるゲームクリエイターのイシイジロウ氏、「Sherlock」関連のテキスト監修には作家の北原尚彦氏が参加している。

 頭脳戦による駆け引きをオンライン上で繰り広げる戦いが魅力の本作。言葉を使わずともできる腹の探り合いと相手に仕掛けるブラフ、自身の目的が露見しないように慎重にかつ巧みに運ぶ駒捌き。お互いの一挙一動に一瞬たりとも気が抜けないバトルは1度プレイすると非常に癖になる。今回はそんな「CRIMESIGHT」の発売に先駆けて体験できた本作の魅力を紹介したい。

【4月15日発売! CRIMESIGHT トレーラー02】

CRIMESIGHTで描かれるAI「Sherlock」の世界

 本作の舞台は2075年のロンドンだ。AI技術の発達によりこれから起こりうる犯罪の発生率を90%抑制できるようになった時代に、それでも防ぐことのできない犯罪事件によって世界が破滅する未来が算出された。その起因となる凶悪犯罪を追跡・阻止するために構築されたAI「Sherlock」があまたの事件を追う中でその事件の中心に犯罪計画AI「Moriarty」がいることを導き出したという世界で、プレーヤーたちはSherlock側となる犯罪捜査官、Moriarty側の犯罪を起こす実行者として犯罪のシミュレーションを行なう。

 本作はAIが行なうシミュレーションなのでかなりサイバーな感じだが、AIのモデルが「Sherlock」ということで、犯罪のシミュレーションをする舞台も、どこかクラシックで19世紀の洋館を彷彿とさせる印象だ。

 時代を2世紀近く超えてもなお戦い続けるシャーロックとモリアーティという構図もまた感慨深いものがある。

AI「Sherlock」
AI「Moriarty」
AI「Sherlock」の本拠地

「CRIMESIGHT」とは一体どんなゲームなのか

 本作は「人狼」や「Among Us」のような、大衆の中に犯人が隠れている非対称正体秘匿系ゲームとなっている。

 プレーヤーは探偵のSherlock側と犯人のMoriarty側に分かれて、閉ざされた洋館の中で「Pawn(ポーン)」と呼ばれるキャラクターたちを操作して戦う。「Pawn」の中には殺人実行者の「キラー」と被害者の「ターゲット」がそれぞれ1人ずつ隠れている。Sherlock側は殺人を防ぎ、Moriarty側は殺害を遂行することが勝利条件となる。

 また、本作は相手方の目的を達成させないよう、そして自身の目論見もばれないように立ち振る舞うことが重要となる。舞台は吹雪の中、外の世界から遮断された洋館だ。この洋館の中で起こる殺人事件を完遂させたいMoriarty側と未然に防ぎたいSherlock側との攻防戦を繰り広げることとなる。

シミュレーションの舞台となる洋館は周りが吹雪で外界と遮断されている

 洋館のステージは3種類用意されており、それぞれ間取りが異なる。

 洋館の中には様々な部屋が用意されており、部屋の大きさも大小さまざまだ。館内には随所に凶器や食料、アイテムやギミックが隠されており、基本的には「Pawn」たちにこれらを探索させることでゲームを進めていくことになる。Moriarty側は館内のすべての凶器と食料の位置を把握しているが、Sherlock側はプレーヤーごとに2つの食料しか判明していない。

Moriarty側から見ると各部屋に設置されているアイテムが色分けされて見える

 プレーヤー自身がどちらをプレイしたいかは事前に選ぶことができるが、全員がSherlock側、複数人がMoriarty側を選んだ場合はその中からランダムで決定される仕様となっている。

Sherlock側かMoriarty側どちらでプレイするか選ぶことも可能だ
ゲーム開始時にどちら側か決定する

 プレーヤーが操作する「Pawn(ポーン)」と呼ばれるキャラクターたちだ。「Pawn」にはそれぞれ「Agatha(アガサ)」、「Berkeley(バークリー)」、「Catherine(カトリーヌ)」、「Dorothy(ドロシー)」、「Ellery(エラリー)」、「Freeman(フリーマン)」という名前がついている。各「Pawn」は基本的にアルファベット順に行動を起こすようになっている。

 キラーとターゲットとなる「Pawn」は対戦ごとに1体ずつランダムで決定される。

 それぞれのAI側には一定の制約が設けられており、Sherlock側は誰がターゲットで誰がキラーなのかはわからない。Moriarty側はターゲットとキラーは把握しているが、ターゲットだけ操作することができないという制約がある。

 また、ゲームモードごとのプレーヤー人数によって変化するが、Sherlock側は3体(3人プレイ時は4体)まで、Moriarty側は2体まで1ターンに動かすことができる。ただし、同じ「Pawn」にSherlock側とMoriarty側が制御を実行した場合、「Pawn」はMoriarty側の制御に必ず従うため「Pawn」への影響力はMoriarty側の方が絶対的に強いのだ。またどのプレーヤーからも制御されなかった「Pawn」は自動で動いてしまう。

 この力関係が非常に絶妙で、1vs1で戦ってもSherlock側はキャラクターの制御を奪われ、Moriarty側はターゲットを動かせないという互いのジレンマ、双方で制御が被ってしまった時のMoriarty側のバレるのではないかというハラハラ感、Moriarty側のブラフの動きや制御がなかった「Pawn」の動きに翻弄されて読み切れずに悩むSherlock側など、同じ洋館のステージでも1つとして同じ戦いはない。

「Pawn」たちが動けるエリアは決まっている

 「Pawn」の移動操作は部屋の中を細かく区切られた「エリア」と呼ばれる単位で制御を出すことで行われる。1つの「Pawn」ごとに3エリアずつ進むことができるが、3エリア進んでしまうと「Pawn」が疲労してしまい、Sherlock側プレーヤーは次のターンでは2エリア以内でしか移動させられない。

 一方、Moriarty側プレーヤーはPawnが拾う状態だろうと無理矢理3エリア移動させることができるが、それはつまり「Moriartyによる制御があった」ことがSherlock側に明らかになってしまう。このためSherlock側もMoriarty側も、どの「Pawn」を1ターン内にどのエリアまで動かすかを探り合いながら、さらに相手側の動きの意図を読むのは常にドキドキ感があり楽しい。

 また「Pawn」が空腹になったり、負傷すると移動エリアが狭くなる。2つ以上の状態異常が重なると瀕死状態となりその「Pawn」は視界を失ってしまう。視界を失ってしまうと目の前にキラーとターゲットがいても見えておらず、キラーの犯行を防げなくなってしまうので注意が必要だ。

状態異常になると「Pawn」たちの動きも鈍くなる

 制御は移動先のエリアに移動するほかに、エリアにある探索可能なオブジェクトを探索、起動可能なギミックを起動する、アイテムを使用するなどがある。

 手に入れた食料は1日の終了時に「Pawn」たちが自動で食べて空腹をしのいでくれる。もしSherlock側でターゲットが絞れている場合や、Moriarty側でキラーを常に最善の状態で動かしたい場合は積極的に食料を手に入れておきたい。

お腹が空いている「Pawn」は真剣にその旨を教えてくれる

キラーによるターゲット殺害の条件は以下の通り。

キラーが凶器を持っている
キラーとターゲットが同じエリアにいる
同じ部屋の中に 他の「Pawn」がいない

 この3つをターンの終了時にすべて満たしてしまうと、殺害が行われ、Moriarty側の勝利となる。その上で、Moriarty側だけが使える制御の1つに、「襲撃」というものがある。通常、Pawnの移動は前述のとおりエリアを対象として実行されるが、「襲撃」は「ターゲット自体」を移動先とする。ターゲットがどこに逃げようと、移動可能な範囲内であれば必ず追いかけることができるのだ。

 Sherlock側が「襲撃」を防ぐには、ターゲットとキラーを引き離すか、同じ部屋に他の「Pawn」を滑り込ませるかのどちらかだ。

 Moriarty側の「襲撃」制御はキラーに対してしか実行できないため、1度出してしまうと、すべてのプレーヤーにキラーとターゲットがばれてしまう。ばれてしまうと猶予は残り1ターンとなってしまうので、それまでにターゲットを仕留めてしまわないと負けが確定する。

 ちなみに「襲撃」はキラーが凶器を所持しており、ターゲットが移動可能な範囲内にいると、どのターンでも発動できる。しかし、ターゲット側がそのターンに移動してしまう可能性も含めて確実に殺害できるという確証がないと、Moriarty側も敗北の可能性があるため、発動には細心の注意が必要だ。Sherlock側も最後まで諦めずに冷静に最善の1手を探すことをおすすめしたい。

Moriarty側が「襲撃」をかけるのには細心の注意が必要だ

 一方、Sherlock側の能力としては、1日の終わりにはAISherlockがキラーとターゲットの距離が3マス以内かどうかを推理する、というものがある。通常、Moriartyは制御がバッティングさえしなければ情報がSherlock側に渡ることはないのだが、Sherlockの推理はそれぞれのPawnの位置関係によっては一気にキラーとターゲットの絞り込みが行なわれる。

 Moriarty側の情報がSherlock側にどんどん漏れていくのだ。どちらのAIも相手方からわかった情報や、漏れてしまった情報などを教えてくれるので、プレーヤーはそれを参考にしながら、次のターンを戦っていくことになる。

現在の状況を各担当AIが教えてくれる

 序盤は圧倒的に有利なMoriartyだが、時間が経てば経つほど実は、Moriarty側は情報がSherlock側に渡ってしまうので終盤はかなり不利な状況に陥ることもある。そんな時に起こってくれると嬉しいのがランダムで発生する「アクシデント」だ。「アクシデント」には他の「Pawn」の視界を奪う「停電」や、その場にいる「Pawn」が状態異常をおこす「ガス漏れ」などがある。発生した際にはこれらをうまく使って、窮地を打開してほしい。

突然の停電で視界がなくなる
ガス漏れの部屋にいると危険だ
急に野犬が入ってきて襲われるというアクシデントも

 ゲームではこうした工程を、1日を朝、夕方、夜の3つのターンに分けて、救出が来るまでの4日目の朝までの全10ターンの中で戦っていく。

 また、4日目の朝を過ぎた段階でキラーがターゲットを殺害できないとSherlock側の勝利となるが、最後にどのキャラクターがキラーだったかプレーヤー全員で投票する「最終推理」が行なわれる。この投票でSherlock側が見事キラーを当てることができれば、Sherlock側の「完全勝利」となる。犯行は阻止したものの、キラーを外した場合は「引き明け」となる。

 10ターンと聞くと、とても短いように思うかもしれないが、1ターンごとに相手の動きを予測し、推理していくためかなり頭を使う。参加人数にかかわらず1試合最大で30分程度だが、時にブラフをかけて相手を揺さぶったりと戦略も考えながら戦っていくので10ターンの中でかなり濃厚なバトルが楽しめる。

最終ターンまでターゲットを守り切ると、どの「Pawn」がキラーだったのか投票が始まる

ヒリつく1vs1。みんなでワイワイ楽しめる4人プレイ。人数によって異なるプレイ感覚

 本作のプレイ人数は最小2人、最大4人で遊ぶことが可能だ。

 本作はプレイする人数によって、プレイ感覚が異なるのが大きな魅力だと感じた。1対1の場合は最初からプレーヤーの陣営が当然わかっているため、お互いを盤面の上で騙し合う駆け引きゲーム、複数人プレイではそこに「誰がどの陣営なのかわからない」という要素が加わるため、人狼ゲームのようなプレーヤー同士を疑い合う要素が強くなる印象だ。

 1vs1で対戦すると、Sherlock側は相手の立ち回りを見て、そこにどういった意図があるのか、いかに早くターゲットとキラーを特定するかを探る。Moriarty側は終盤まで相手にターゲットやキラーを察知させないような立ち回りはもちろん、わざと別のPawnにキラーの疑いを向かわせるといったようなブラフをたくさん仕掛けて相手を揺さぶるなどの駆け引きが脳をヒリつかせる。最初からお互いの役割をわかっているからこそ、真っ向勝負でお互いの心理をガッツリ読み合って、少しでも出し抜かれないように「Pawn」たちを操作していくのは手に汗握るほどの緊張感がある。

1vs1では常に緊張感が付きまとう

 それに代わって、4人プレイでは誰がSherlock側で、誰がMoriarty側なのかが全くわからない。

 誰がどの役割なのかわからないのでより人狼感が増し、パーティゲーム感が増す。誰がどの役割なのかわからないためよりお互いが疑い合い、それぞれ具に観察して疑わしいプレーヤーがいないか確認しながらプレイしていく。4人プレイではMoriarty側は特に1vs1と変わりないが、Sherlock側は操作できる「Pawn」が1ターン1人となる。Sherlock側の動かせる「Pawn」は3人から変更がないのでプレイ人数が増えた分、1人のプレーヤーが操作できる「Pawn」に制約ができる形だ。

 しかし、その分Sherlock側には1人当たりが盤面を読み解く時間の猶予が与えられる。複数人で戦うとSherlock側は、誰がMoriarty側なのか全員が怪しく見える猜疑心と、信頼できる仲間を見つけた時の安心感で揺れ動く。Moriarty側はとにかく誰からも疑われないようにより細心の注意を払いながら、うまく紛れ込み戦うハラハラ感が病みつきになる。

複数人プレイだとワイワイパーティゲームのように楽しむこともできる

 また、本作にはボイスチャットやテキストチャットが用意されていない。そこで使われるのが、「PING」と「スタンプ」と呼ばれるコミュニケーションツールだ。プレーヤーがどの「Pawn」を操作したい、誰が疑わしい、などを絵文字等で意思表示を宣言することができる。また、疑わしいプレーヤーに自身の宣言を表示しないミュート機能があるので、活用しながら他のプレーヤーに揺さぶりをかけたり、仲間と結託してプレイすることが可能だ。

 言葉を交わさなくてもほかのプレーヤーと心理戦を楽しむことができるので、しゃべるのが苦手な方や言葉の通じない国の人たちとも気軽に遊ぶことができる。話をする機能はないが、むしろ話をしなくても相手方の腹の内を探りながら、いろいろな思考を巡らせてプレイできるのは画期的で楽しいと感じた。

言葉を交わさずとも「PING」でコミュニケーションをとれる

 もちろん外部のチャットツールを使うとよりヒリつきも増す。自分以外のプレーヤーの機微を見ながら、言葉でも揺さぶりをかけることもできる。4人プレイでは互いに疑い合うのでより会話量も増えていくためさらにパーティゲーム感も増す。自分以外のプレーヤーがどの役割なのかを探りながら、時に直球で、時にブラフをかけながら戦うのもとても楽しい。本ゲームにおけるチャットは「あればもっと楽しくなる」ものであり、「ないとゲームが成り立たない」というものではない。

 そして、本作は疑わしいからと言っても、ゲーム終了までは参加しているプレーヤーが欠けることはない。正体秘匿系ゲームでありがちな序盤に干されてしまい、その後顛末をじっと見届けるということもなく最後まで楽しめるというのはありがたいシステムだと感じた。

プレーヤーそれそれ好みの遊び方ができる「CRIMESIGHT」

 本作は操作自体が非常に簡単だ。それ故に非常に広い視野が求められる。自分以外のプレーヤーの動きを見落とすことなく、相手をいかに出し抜くかの心理戦を集中力が途切れることなく続けられるかが大事なポイントとなると感じた。

 本作ではSherlock側、Moriarty側どちらもそれぞれしっかり楽しめるのが嬉しい。相手を追い詰める楽しさ、相手を出し抜き騙し通す楽しさを存分に味わえる。そして、騙し通された悔しさ、追い詰められる悔しさもリベンジをしたいというモチベーションに変えられる。終わった後に感想戦をする楽しさもある。

 なにより同じ洋館で戦っても、そのたびに違う戦略が出てきて、違う刺激やヒリつき感を感じることができる。ステージが少なくても無限に遊べてしまうのが、本作のすごいところだと感じた。

 また、プレーヤー自身がどんな感じで戦いたいかによって1vs1や複数人、Ireneを入れてなど、さまざまなシチュエーションを選ぶことができるのも非常に魅力的だ。1vs1で極限まで脳をヒリつかせたい人も、友達とワイワイ遊びたい人も、知らない誰かと言葉を交わさすに遊びたい人でも遊べるというのは、とても貴重な正体秘匿系ゲームといっていいのではないだろうか。

 気になる方は是非1度プレイしてみてほしい。

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