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Wednesday, June 29, 2022

アートな窓:「描ける宝石」で心表現=尾張七宝職人・田村有紀 /愛知 - 毎日新聞

 「ねえパパ、うちは宝石屋さんなの?」。幼稚園児の時に質問すると父は笑っていた。

 私は1883(明治16)年から愛知県七宝町(現あま市七宝町)で続く尾張七宝の窯元、田村七宝工芸に生まれ、「ゴダイメ」を名乗っている。祖父は3代目、父は4代目、母は七宝作家。美しい作品が身近で宝石みたいにキラキラしており、冒頭の質問にたどり着いたのだ。

 七宝焼は金属にクリスタルガラスを焼き付けて作る。材料に使うガラス釉薬(ゆうやく)が粉砕される際、石ころのようにころころと逃げ出し職場の隅に落ちていた。海のような青、透き通るルビーのような赤、琥珀(こはく)のような茶色、翡翠(ひすい)のような緑。そんなガラスのかけらを拾って瓶に集めていた。それは宝石みたいで私の宝物だった。

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