90年代のコギャル文化や80年代のディズニーランドなど、さまざまな時代のカルチャーを再現して撮影するサークルがじわじわと注目を集めています。「タイムトラベルガール」の主宰・あやねさんを取材しました。
「1988年(開園5周年)のディズニーランドに行ってきた」「コギャルの落書き」など、時代に合わせた世相を再現した写真をInstagramへ投稿しているのは、「タイムトラベルガール」の皆さん。以前ねとらぼでも紹介した「平成生まれが昭和・90年代を語る会」の代表・あやねさんが主宰するサークルです。
ユニークな活動内容について、“タイムスリップディズニーランド”を例に紹介してみると、1980年代〜1990年代に流行していたコーディネートでディズニーランドを楽しむ――といった形。
「平成生まれが昭和・90年代を語る会」の定例会で、参加者から「1983年〜1993年頃のディズニー好きなんですけど、当時の格好をして1回行ってみたいんですよね」という提案があったことから実現したと言い、開園5周年当時のガイドブックや、1980年代に使用されていたショッピングバッグ、5周年当時に販売されていたキーホルダー、イヤーハット、ビッグ10(アトラクション利用券付)、写ルンです(当時のデザインのもの)といった持ち物に加え、当時ディズニーランドで使用されていたポップコーンボックス(紙製)のデザインを調べて再現してしまうほどのガチっぷりです。
また1987年の『CanCam』を参考にしたという服装も非常によく考えられており、当時爆発的に流行して売り切れが続出したという、Louis Vuittonのソミュールまでそろえているところにこだわりが感じられます。
徹底した時代背景の調査に加え、「ありそう!」「あったあった!」となつかしさを感じさせる演出や衣装、小道具はどのようにして準備しているのか。「タイムトラベルガール」のあやねさんにお話を伺いました。
情報収集は国会図書館で
――どの投稿も各時代の良さが反映されていて、とても楽しいです。特に気になるのが、衣装や小道具についてなのですが、どのように情報を収集し、準備しているのでしょうか。
あやね:情報収集は基本的に国会図書館で、当時の本や雑誌を中心に行っています。小道具や衣装はメンバーの持ち込みでやっているのですが、出費が半端ないはずなのに、その時代が好きだからとみんなわざわざ準備してくれるんです。
撮影に関しては、カメラマンさんやヘアメイクさんは、事前に「こんな撮影やります」とSNSで告知すると、興味を持った方が集まってくれます。普通の撮影やヘアメイクでは、あまりやらないテーマだったりするので、楽しんでやっていただけているみたいです。本当にご協力いただいた皆さんには感謝しています。
――あやねさんは、「タイムトラベルガール」と「平成生まれが昭和・90年代を語る会」の両方で活動されていますが、こうしたサークルを始めたきっかけは何だったのでしょうか。
あやね:私自身、中学生の頃から1970年代〜1990年代の文化を調べたり、楽曲を聞くのが好きな子だったのですが、4年前にふと「私と似たような趣味の人たちがネット上にはたくさんいるかもしれない」と思って立ち上げたのが「平成生まれが昭和・90年代を語る会」です。一目見て、どんな会か分かるように、このサークル名にしました。
それからオフ会を定期的に始めたのですが、オフ会の会話って「いかに時代に関して知識があるか」というのがポイントになってきて無意識に知識マウンティングが起こるんです。
――知識マウンティングとはどういったものなのでしょうか。
あやね:相手が楽しそうに語っているのに、「それは情報が違うよ」っていちいち水をさしたりすることを個人的に知識マウンティングと呼んでいます。昭和好きかいわいのTwitterを見ていても、そういう空気があって、もっとみんなが楽しんで時代の知識を生かせる場所を作れないかと思って作ったのが、「タイムトラベルガール」です。みんなでその時代を再現することが目的なので、知識も生かせるし、まるで文化祭みたいな感じでやってます。
――他にも活動のルールのようなものはあるのでしょうか。
あやね:大切にしているルールは2つありまして、1つは先ほどお話した知識マウンティングしないこと。もう1つは「昔はよかった、それに比べて今の時代は〜」と現在を否定しないことです。どんなに頑張ったって時代は戻すことはできないし、だからこそ時代って面白いと思うんです。
――「タイムトラベルガール」と「平成生まれが昭和・90年代を語る会」の活動は、どのような違いがあるのでしょうか。
あやね:「平成生まれが昭和・90年代を語る会」は東京本部、関西支部、沼津支部を合わせて50人ほどメンバーがおり、時代好き同士で「交流」をする会となっています。年間では3、4回程度活動しています。
タイムトラベルガールは戦後から現在までを対象に時代再現を「創る」会で、これは良いアイデアが思い付いたり、良いアイデアをメンバーからもらったら撮影をセッティングするので不定期になりますが、2、3カ月に1度は撮影していると思います。その撮影ごとにメンバーが変わるのですが、カメラマンさん、ヘアメイクさんも含めると30人ぐらいの方にご協力いただきました。
――タイムトラベルガールの活動(投稿)で印象に残っているものがあれば教えてください。
あやね:私の親友のメンバーが「88年(ディズニーランド5周年)の格好をしてディズニーランドに行くのが夢」というのを聞いて、それ面白そうじゃん!と一緒に実行したのがタイムトラベルガールの始まりなんです。そこで撮った写真が本当に「お母さんの若い頃」っていう感じだったので、これはいける!と思ってスタートしたんです。
――これまでで一番大変だったテーマと楽しかったテーマは何でしたか。
あやね:大変だったのは漫才ブームの時の女漫才師が出したレコードというテーマです。大阪に行って撮影したのですが、なかなか写真一枚でその漫才師の芸風が表現できなくて、何百枚も撮影しました。会心の1枚が撮れたときは、みんなが感嘆の声を上げました(笑)。
あとはコギャルの撮影も大変でした。「昔のプリクラ機でコギャルの格好で撮ろう」というのが目的で、事前に施設と綿密に連絡とりあっていたのですが、その機械がある場所がすごく遠かったうえに当日機械トラブルが起きたりして、その様子は1997というタイトルの動画にまとめてあります(笑)。
――楽しかったテーマについても教えてください。
あやね:楽しかったのは、架空の90年代番組をテーマにしたものです。「みんなで90年代の格好をして90年代っぽい架空の番組の番組特製テレホンカードをつくろう!」というタイトルでTwiPlaで募集をしたら皆さん集まってくれて、「突撃!!チョベリー王国」という番組名も撮影後の喫茶店でみんなで決めました。
テレカ以外にも、番組CMとオープニングとエンディングの映像まで制作したので本当に自分はその番組の出演者だったのかなと未だに錯覚しています(笑)
また喫茶店撮影のときはiPhoneで撮影した素材をすぐにAirDropでMacBookに入れて、iPadでタイトル文字を書いてもらって……と、撮影から2時間程度で完成させました。
――最後に、昭和、90年代、20年代、令和の時代など、時代の流れについてどう感じていますか。
あやね:どの時代もその時代ならではの特徴があるんですよね。でも、その前の時代を見ると、そうなった理由がなんとなく分かったりして、時代ってまるで1本の川のようで面白いなと思います。
今の時代もきっと後年、そうなるんじゃないかなと思います。だから昔の時代も調べつつ、今の流行やトレンドもしっかりおさえておきたいですね。それを数年後にタイムトラベルガールでやるかもしれないので!
さまざまな時代に旅しながら、各時代の特徴や面白さ、良さを追求するタイムトラベルガールの皆さん。次はいったいどんな時代へ旅するのでしょうか。
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April 25, 2020 at 05:00PM
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