2020年11月5日に発売された、ビッグマイナーチェンジを受けたレクサス『IS』。
コンパクトFRセダンとして「クルマを操る楽しさ」を追求してきたISは、このクラスの世界的なベンチマークであるメルセデスベンツCクラス、BMW3シリーズがライバルとなる。
その走りは、レーシングドライバー、そしてGT-R開発のテストドライバーとして著名な鈴木利男氏の目にはどう映ったのか!? さぁ、インプレッションといこう。
※本稿は2020年1月のものです
レポート/鈴木利男
写真/平野学
初出:『ベストカー』 2020年2月10日号
【画像ギャラリー】ビッグマイチェンでさらに熟成! レクサスの主力セダン「IS」の進化をその目でチェック!!
■運転がうまくなったように感じられるV6モデル
まず乗ったのはV6、3.5Lエンジンを搭載する『IS350 Fスポーツ』。純粋なガソリンエンジン車の終焉が近づいているなか、貴重な存在のミドルサイズFRスポーツセダンです。
編集担当氏にそそのかされて(?)下道の試乗もそこそこにワインディングに乗り入れました。ひとつめのコーナーを曲がった瞬間にバランスのよさを確認。前後のロールが合わせやすく、思いどおりに動かせます。
ブレーキングでのノーズダイブが少なく、リアのブレーキもよく利いて安定しています。コーナーへの進入ではスムーズにフロントが入り、脱出ではリアに荷重がかかるのを待つことなく、思ったタイミングでアクセルを踏めます。前後のバランスのいいクルマはリズミカルに運転できるのです。
ロールは相応にしているのですが、クルマが常に水平に動いている感覚。ステアリングに伝わる接地感もよく、とにかく軽快で、1660kgの車重があるとは思えない動きです。
凄く楽しい。ドライバーに減速、加速、操舵の「待ち」を要求せず、自分のタイミングで操縦できるのが楽しさに繋がるわけです。こういうクルマは意外とないものです。
V6エンジンも魅力的。私はガソリンエンジンの終焉を嘆くタイプではありませんが、エンジンの鼓動を感じながら走るのは確かに楽しい。ハンドリングのいいクルマはエンジンもより魅力的に感じさせます。レスポンスのいい8速ATも文句なしです。
下道での乗り心地もいいですね。荒れた路面ではそれなりにショックが入るのですが、すぐに収束するから不快さが残らず、スッキリしています。
端的にいうと「運転が上手くなったように感じさせるクルマ」です。自分の思ったとおりに動かせる優秀なスポーツセダン。コンパクトなサイズもいいですね。
■もう少し「Fスポーツ」としての楽しさが欲しかったハイブリッドモデル
続いて2.5Lハイブリッドの『IS300h Fスポーツ』に試乗。売れ筋グレードになると思うのですが、残念ながらパワーユニットの魅力に欠けます。
ハンドリングもV6モデルよりややマイルドで、同じFスポーツでも印象が異なります。アクセルを踏むと、ミーンという悲しい音がして、トルクの盛り上がりもありません。クルマの電動化が進むことに異論はありませんが、ハイブリッドはもう少し楽しさを感じられるものになってほしいものです。
V6ガソリンエンジンのIS350に話を戻すと、人馬一体感を得られる走りはとても楽しいものでした。もしも購入の相談を受けたら、自信を持って薦められる、そんなスポーツセダンでしたね。
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