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Wednesday, June 2, 2021

コンパクトな筐体に第11世代Core i5と2.5GbE×2搭載の「MINISFORUM TL50」 - PC Watch

milanokabar.blogspot.com
MINISFORUM TL50

 現在MINISFORUMは第11世代 Core i5-1135G7を搭載した小型PC「MINISFORUM TL50」をクラウドファンディング中だ。事前に試用する機会に恵まれたのでレポートをお届けしたい。

NUCタイプのコンパクトなボディに2.5Gigabit Ethernet×2を搭載。2.5インチ×2収容可能

 一般的なメーカー製のPCとは違い、クラウドファンディングで成り立っているMINISFORUMのPC。2021年は2月にRyzen 7 PRO 2700Uを搭載した「UM270」、4月にRyzen 5 4500Uを搭載した「HM50」と、AMDプロセッサ搭載機2台をご紹介した。どちらもなかなか個性的な1台で楽しめる内容だった。そしてIntelプロセッサ搭載機の登場となる。

 CPUは第11世代Tiger LakeのCore i5-1135G7。このクラスだとIntelのNUC(NUC11PAHi5)が直接の競合となるだろうか。どのような差別化がなされているのか興味津々と言ったところ。主な仕様は以下の通り。

MINISFORUM「TL50」の仕様
プロセッサ Core i5-1135G7(4コア8スレッド/2.4(cTDP-up)~4.2GHz/キャッシュ8MB/cTDP-down 12W、up 28W)
メモリ 12GB(オンボード/LPDDR4-3200)
ストレージ M.2 PCIe SSD 512GB
OS Windows 10 Home(64bit)
グラフィックス Iris Xe Graphics/HDMI 2.0、DisplayPort、Thunderbolt 4
ネットワーク 2.5Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1
インターフェイス Thunderbolt 4、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-A×4、音声入出力
その他 拡張ストレージ:2.5インチ×2 SATA SSD/HDD(6Gbps)。VESAマウンタ
サイズ/重量 149.6×149.6×55.5mm(幅×奥行き×高さ)/約603g
価格 7万3,000円から

 プロセッサは第11世代Tiger LakeのCore i5-1135G7。4コア8スレッドでクロックは2.4GHz(cTDP-up)から最大4.2GHz、キャッシュは8MB、cTDP-down 12W/up 28Wとなる。ストレージはM.2 PCIe SSD 512GB。OSは64bit版Windows 10 Homeで、バージョンは20H2だったので、その範囲でのWindows Updateを適用、評価している。

 メモリはLPDDR4-3200で12GB。スロット式なら4GB+8GBと半端な構成となるが、本機はオンボードでの搭載となり、PCMark 10 System Informationを見ると1,536MB×8の計12,288MBとなっていた。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のIris Xe Graphics。外部出力用にHDMI 2.0、DisplayPort、Thunderbolt 4を備えている。最大出力解像度はそれぞれ、HDMIが4K/60Hz、DisplayPortとThunderbolt 4が8K/60Hz。3画面同時出力にも対応する。

 ネットワークは、Gigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1。Gigabit Ethernetは2つとも2.5G対応だ。全部入りの上に、2.5Gigabit Ethernet×2は、用途によってなかなか魅力的だと思われる。

 そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4、USB 2.0 Type-A×2、USB 3.0 Type-A×4、音声入出力。SDカードスロットは無い。また、拡張ストレージとして2.5インチ×2 SATA SSD/HDD(6Gbps)を内蔵可能。VESAマウンタも付属する。

 サイズは149.6×149.6×55.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約603g。現在クラウドファンディング中で価格は7万3,000円からとなる。

 IntelのCore i5-1135G7搭載NUC(NUC11PAHi5)が5万1,800円なので、その差2万1,200円。OS、ストレージ、メモリ代を考えると2.5Gigabit Ethernetの2つ分も含めお得と言ったところだろうか。

HM50やiPhone 12 Pro Maxとの比較。HM50とTL50はサイズ、コネクタ位置などは同じだ。見分け方は、TL50の場合には前面のType-CがThunderbolt 4(稲妻アイコン)、背面のEthernetがどちらも2.5G対応
前面。リセット、電源ボタン、音声入力、音声出力、USB 3.0/Type-A×2、Thunderbolt 4
背面。USB 2.0/Type-A×2、USB 3.0/Type-A×2、2.5Gigabit Ethernet、DisplayPort、HDMI、ロックポート、電源入力用Type-C(ただし19V)

 筐体はご覧のように以前ご紹介したHM50とまったく同じで、IntelのNUCよりは二回りほど大きい。前面のType-CがThunderbolt 4(稲妻アイコン)、背面のEthernetがどちらも2.5G対応となっている点で判別可能だ。重量は実測で619g。

 前面はリセット、電源ボタン、音声入力、音声出力、USB 3.0 Type-A×2、Thunderbolt 4。背面はUSB 3.0 Type-A×2、USB 2.0 Type-A×2、2.5Gigabit Ethernet、DisplayPort、HDMI、ロックポート、電源入力用Type-Cを配置。底面はVESAマウンタ用のへこみがあり、四隅のネジを外せば簡単に内部にアクセスできる。

 内部は左側にある白いコネクタ2つがSATA、右側にM.2 SSD。メモリは裏にオンボード、加えてスロットもなく増設ができず12GB固定となる。一般的な用途であれば十分だが、仮想マシンなど多くのメモリを必要とする場合、本機は不向き。この点をどう思うかで評価が別れそうだ。

 付属品はSATAケーブル、2.5インチマウンタ、VESAマウンタ、HDMIケーブル、電源ケーブル、ACアダプタ。注意してほしいのはACアダプタだ。コネクタがType-Cなのでほかのデバイスに使えそうだが、出力19V/3.42A固定なので壊れてしまう可能性がある。本機専用で使っていただきたい。なおアダプタのサイズは約92×43×28mm(幅×奥行き×高さ)、重量184gとなる。

 裏パネルは写真からも分かる様に、付属のマウンタで2.5インチSATA SSD/HDD 2基を本体内に内蔵可能だ。

キーボード付きモバイルディスプレイとケーブル1本(Thunderbolt 4)で接続。以前ご紹介したUM270やHM50では、HDMIとUSBのケーブル2本必要だった

 UM270やHM50では、HDMIとUSBのケーブル2本を使って接続していたキーボード付きのモバイルディスプレイだが、今回前面にThunderbolt 4が備わったことにより1本で接続可能となった。思った以上にスッキリするのでこの差は小さくない。

 発熱や振動は試用した範囲ではまったく気にならないレベル。ノイズは本体に耳を近づけるとそれなりに鳴っているものの、机の上に設置し、少し離れれば大丈夫だろう。クラウドファンディングのページには”通常動作時には39.4dB、全負荷時でも43.4dBと、わずか4dBの増加に抑えた静音設計”と書かれている。

 BIOSは起動時、「DEL」キーで表示する。Main、Securty、Boot、Save&Exit……と項目は少なめだろうか。今回は特に触らず評価した。

 小型な筐体で重量もそこそこ。カバンに入れて持ち運びも容易だ。SDカードスロットがないのは残念だが、各種ポートはよりどりみどり。後述するベンチマークテスト結果も上々。手軽に色々な用途に使える1台だ。

Ryzen 5 4500U搭載のHM50と比較して3DMarkで圧勝!

 初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。特にプリインストールのアプリなどはない。デスクトップはWindows標準とシンプルだ。使用感は第11世代Core i5、メモリ12GB、PCIe SSDなのでストレスなく快適に作動する。

 ストレージはPCIe SSD 512GBの「KINGSTON OM8PCP3512F」。仕様によるとM.2 PCIe Gen 3 NVMe 1.3とあるが、データ転送速度などは不明だ。Cドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられ、空き容量は445GB。

 Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX200、Gigabit Ethernetは2.5G対応のIntel Ethernet Controller I225-V。Bluetoothも含め、すべてIntel製だ。

スタート画面(タブレットモード)。フルHDで1画面。特に追加されたグループなどはない
起動時のデスクトップはWindows標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはPCIe SSD 512GBの「KINGSTON OM8PCP3512F」。Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX200、Gigabit EthernetはIntel Ethernet Controller I225-Vで、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。参考までに少し前にご紹介したMINISFORUM HM50(Ryzen 5 4500U搭載)のスコアも掲載している。

 ご覧のように、PCMark 10/8に関しては項目によって本機のスコアが高かったり低かったり、結構でこぼこしている。搭載しているSSDの性能がHM50より低いので、関係があるかもしれない。

 Cinebench R23は似たり寄ったり(マルチコアは少し下回るが、シングルコアでは上回る)の結果。ただ3DMarkになると、Time SpyからCloud Gateまでが本機が速い。ここはIntel Iris Xe Graphicsの方がRadeon Graphics(6コア)より強力ということだろう。

MINISFORUM TL50 MINISFORUM HM50(参考)
PCMark 10 v2.1.2508
PCMark 10 Score 4,602 5,004
Essentials 9,190 8,928
App Start-up Score 11,700 11,382
Video Conferencing Score 7,721 7,706
Web Browsing Score 8,592 8,114
Productivity 6,245 7,644
Spreadsheets Score 5,622 9,293
Writing Score 6,938 6,289
Digital Content Creation 4,609 4,985
Photo Editing Score 6,739 7,583
Rendering and Visualization Score 2,916 4,503
Video Editting Score 4,983 3,630
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.0 4,228 4,180
Creative Accelarated 3.0 4,690 4,340
Work Accelarated 2.0 3,004 5,184
Storage 4,973 5,042
3DMark v2.18.7185(HM50はv2.17.7137での測定結果)
Time Spy 1,532 1,022
Fire Strike Ultra 1,111 587
Fire Strike Extreme 2,096 1,210
Fire Strike 4,260 2,687
Sky Diver 13,533 9,759
Cloud Gate 19,261 15,954
Ice Storm Extreme 76,892 83,918
Ice Storm 91,058 103,562
CINEBENCH R23
CPU 5,498(9位) 5,552(9位)
CPU(Single Core) 1,363(3位) 1,173(5位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード 1986.016 MB/s 2547.722 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト 962.886 MB/s 1264.363 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード 306.388 MB/s 899.852 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト 969.992 MB/s 1090.003 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード 298.721 MB/s 487.360 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト 702.968 MB/s 346.617 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード 49.044 MB/s 50.847 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト 274.707 MB/s 121.753 MB/s

 以上のようにMINISFORUM TL50は、第11世代Tiger LakeのCore i5-1135G7、メモリ12GB、ストレージ512GB SSDを搭載し、サイズが149.6×149.6×55.5mm(幅×奥行き×高さ)のコンパクトなデスクトップPCだ。2.5Gigabit Ethernetを2つ、本体内に2.5インチSSD/HDDを2基内蔵可能と言った特徴を持つ。メモリが12GB固定と言う、用途によっては欠点になりえる部分もあるが、試用した範囲では特に気になることもなく、Tiger Lakeを満喫できる内容だ。

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