第166回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は砂川文次さん(31)の「ブラックボックス」(群像8月号)に、直木賞は今村翔吾さん(37)の「塞王(さいおう)の楯(たて)」(集英社)と米澤穂信(ほのぶ)さん(43)の「黒牢(こくろう)城」(KADOKAWA)にそれぞれ決まった。
芥川賞の砂川さんは平成2年、大阪府生まれ。平成24年から約6年間、陸上自衛隊に所属しヘリコプターの操縦などに従事した。28年に「市街戦」で文学界新人賞を受けて、作家デビュー。3度目の候補で射止めた。現在は東京都内の区役所に勤務している。受賞作は東京で自転車便専門のメッセンジャーとして働く20代後半の男性が主人公。突発的な暴力衝動によって転落していく心情を丹念に描く。
芥川賞選考委員の奥泉光さんは「古風なリアリズム小説だが、力強さがあり切実さがにじみ出てくる」と話した。
直木賞の今村さんは昭和59年、京都府生まれ。ダンスインストラクターなどを経て、平成29年にデビュー。直木賞候補は3度目。受賞作は、戦国時代に城の石垣造りを担う石工集団「穴太(あのう)衆」に拾われ、天才を意味する「塞王」の名を継ぐ男の物語。
米澤さんは昭和53年、岐阜県生まれ。平成13年にデビュー。3度目の候補で射止めた。受賞作は織田信長に反旗を翻して有岡城に籠城した武将の荒木村重が、捕らえた織田方の軍師、黒田官兵衛を頼りに城内での怪事件を解決していく。
直木賞選考委員の浅田次郎さんは、今村作品を「職人たちの戦(いくさ)という独創的なテーマを扱った、とても楽しいエンターテインメントだ」。米澤作品については「籠城戦を背景とした極めてユニークで上質なミステリー」などと評した。
3人は同日、東京都内で記者会見。芥川賞の砂川さんは「感謝の気持ちでいっぱいです。変えちゃいけないものは変えずに、書き続けたい」、直木賞の今村さんは「あこがれの賞で、号泣してしまいました」、米澤さんは「ここまでは間違っていなかった、というメッセージと受け止めて、次の仕事を始めたい」と、それぞれ喜びを語った。
贈呈式は2月下旬、都内で開かれる。賞金は各100万円。
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