綾瀬はるかロングインタビュー「元彼の遺言状」と22年目の女優業
芸能人や著名人が、生きざまや本音をじっくりと語るロングインタビュー。トップスターや時の人の言葉には、人の心を揺さぶる力があります。
今回登場するのは「月9」出演中の綾瀬はるか。自身が演じる剣持麗子や共演者についてもじっくり聞きました。お楽しみください。(2022年4月17日掲載。所属、年齢など当時)
ヒーロー&ヒロイン
小谷野俊哉、三須佳夏
女優綾瀬はるか(37)が、フジテレビ系の主演連続ドラマ「元彼の遺言状」(月曜午後9時)で、美しく、金にも、名誉にも、勝ちにもこだわる敏腕弁護士・剣持麗子を演じている。TBS、日テレのドラマを軸にキャリアを築き上げ、フジの連ドラは14年ぶり、同局の看板ドラマ枠「月9」は初出演だ。誰からも愛される国民的女優に、現在の心境を聞いてみた。
言いたいことを言う
綾瀬が演じる麗子は容姿端麗、仕事にもお金にも貪欲な敏腕弁護士。富豪だった元彼の死と「自分を殺した犯人を見つけた人間に全財産を譲る」という遺言を知らされる。そして、大泉洋(49)演じる、元彼の代理人・篠田敬太郎を犯人に仕立てて遺産の山分けを企てるが、毎回のように事件に巻き込まれていくミステリー。
「最初に原作を読んで、ちょっとびっくりするとこもあったけど、麗子のことはなんか結構好きです。言いたいことを言うから、ちょっと気持ちいいですよね。自分では、ここまではあからさまに出来ないから、だからこそ逆に気持ちいいですね。ちょっとむき出しっていうか、そこがすごい魅力的だし、うらやましいなと思います。頭が良くて、何も怖い物がないとああなるんだろうなと。演じていて、とても楽しいです」
さまざまな役を演じてきたが、弁護士役は初めて。
「やっぱり難しい言葉が・・・。でも、あれだけの知識があるから、本当に強気でいられる。何をやっても、こうなんとかで『訴えるわよ』とか言えるから。共感とよりも、すごいなと思いますね。思ったことをなんでも言うし、なんかすごく自分に素直な人だなって思います」
毎回事件に遭遇して、大泉演じる敬太郎と解決に当たる。
「本当に変な世界だなと思いますけど好きです。敬太郎との関係性は、お互いが違うことを勝手にしゃべっている感じが、すごく好きです。2人は、ちょっと視点がズレていて、その掛け合いがテンポよく行って演じている私たちが楽しければ、それが見ている方に伝わると思います」
大泉とは初共演だ。
「大泉さんは、なんかすごいおばちゃんぽい感じですね。ずっとしゃべっているんです(笑い)。だけど、本当にいつも楽しませていただいて、すごいサービス精神旺盛ですし、気遣いもすごい方なので、現場が明るいですね。例えば撮影の合間に待っている間とかでも、常になんでも笑いに変えていっちゃうっていうか。笑いの絶えない現場です」
フジテレビの連ドラは、08年の「鹿男あをによし」以来14年ぶり。
「この作品の鈴木雅之監督が『鹿男-』の監督で、その後も映画の『プリンセス・トヨトミ』や『本能寺ホテル』でご一緒させてもらったので、違和感はありませんね。逆に、ああ久しぶりだな、うれしいなっていう感じです。監督も、カメラもずっとチームでやっていらっしゃるので、チームワークが抜群。楽しい現場で、ちょっとくらいミスをしても、笑って明るく救ってくれる(笑い)。大きな安心感があります」
元彼で亡くなった森川栄治と、その兄で財産相続を放棄した大学准教授の富治は、生田斗真(37)が2役を演じている。
「NHK大河ドラマの『いだてん』(19年)で、一緒だったんですけど、同じシーンがなくて、打ち上げで会ったぐらいで、ほぼ話したことがなかったんです。だけど、すごい気さくな方で、こんな話しやすい人なんだなっていう感じですね。生田さんも明るいから、出演者の皆さんが結構フラットで、よくしゃべっています。現場で、みんながずっとしゃべっている。なんか個性が強いですね(笑い)」
原作は00年の「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した、新川帆立氏(31)の同名小説。
「スカッと力をもらえる作品です。新川さんがしゃべっている動画を見たんですが、すごくかっこいい。原作の剣持麗子と、私が演じる麗子が重なるかは分からない。でも、ドラマの麗子さんもいいキャラクターになっていると思うし、原作にはない要素もあるので、原作のファンの方にもきっと喜んでもらえると思います」
挑戦続ける国民的女優
00年にホリプロスカウトキャラバンで審査員特別賞。翌01年に日テレ系連ドラ「金田一少年の事件簿」で女優デビューした。04年、19歳の時にTBS「世界の中心で、愛をさけぶ」の白血病のヒロイン役に抜てきされ髪を極限まで切った。“干物女”“こじらせ女子”と同世代の女性の共感を呼ぶ役柄を演じて、13年にはNHK大河ドラマ「八重の桜」に主演。15年の映画「海街diary」主演をへて、国民的女優と呼ばれるようになった。それでも、17年の日テレ「奥様は、取り扱い注意」では某国の元特殊工作員にして主婦、18年のTBS「義母と娘のブルース」では腹踊り披露とチャレンジを続けている。22年目の女優業だ。
「いろいろなお仕事をやってきたなという感じですね。仕事がつらいということはなかったけど、せりふを覚える時間がないけど、どんどん撮影が迫ってくる。ずっと寝不足で、もっと寝たいとか、そういう体力的につらいとかはありますけど、精神的にもつらいみたいなことは、あんまりないですね。やっぱり、やるしかないっていう気持ちですね。あと休みの日は楽しみだし、現場でのご飯とかもすごい楽しみですから。食べすぎだなって、いつも反省しながらすごく食べてます(笑い)。もしも自由になる時間があったら、ちょっと海外とかに住んでみたいですね。ちょっと違う文化のとこで生活してみたい。チャレンジというか、いろいろと見ることで視野を広げていくのもいいなと思っています」
大女優になっても自然体だ。構えたところがない。
「元々、女優になりたいってあまり思ったことがなかったんです。女優さんって呼ばれるのも、なんか恥ずかしいなみたいな感じは、ちょっとあったんです。でも、やっぱり大河ドラマの『八重の桜』をやってる時に『ああ、作品を作るって面白いんだなぁ』って実感しました。それまでは基本、あまり演技してる時に楽しいというのはなくて。やっぱり違う人になるから大変だなっていう方が、ずっと強かったんです」
「先の目標は立てない」
3月に37歳になった。
「先の目標は立てないです。立てると、そこに向かえるから、いいなって思うんですけどね。自分の中で考えていることよりも、周りの人がこういう役がいいと引き出しを作ってくれて、開けてくれる感じもあったりします。10年後とかは考えたこともないですね。何をやっているんでしょうかね」
気の強い剣持麗子とほんわかした綾瀬はるな。
「オンとオフは、はっきりしています。引っ張られるところはあるかも知れないけど、撮影中も簡単なストレッチをしたりとか、なんか食べたりとかで気分転換。運動は元々得意なので、なにかゲーム的なものをしてみたいんですけどね。バスケとか、バレーとか」
見てるだけで癒やしになる。きれいで、お金にも仕事にも貪欲な、綾瀬の演じる剣持麗子も見逃せない。
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