Pages

Wednesday, October 27, 2021

【鑑賞眼】ヤマハ・オールスタービッグバンド 楽しさ伝えた佐藤竹善 - 産経ニュース

ヤマハ・オールスタービッグバンドと熱唱する佐藤竹善(中央)=静岡県浜松市(ヤマハ提供)
ヤマハ・オールスタービッグバンドと熱唱する佐藤竹善(中央)=静岡県浜松市(ヤマハ提供)

ヤマハ・ジャズ・フェスティバルは、楽器メーカーのヤマハが同社製の楽器を愛用する演奏家を集めたジャズフェス。

原信夫とシャープス&フラッツや渡辺貞夫を迎えた平成4年を皮切りにほぼ毎年開催。秋吉敏子、ジョージ川口、山下洋輔、日野皓正(てるまさ)…とそうそうたる顔ぶれを迎えてきたが、昨年は新型コロナウイルス禍で中止になった。

2年ぶりの開催となった今年は、小曽根真(おぞね・まこと)に師事し、米ニューヨークを拠点に活動する若手ピアニストのRINA(リナ)、英米で活動後、Jポップの編曲家でも活躍するピアニストの宮本貴奈(たかな)、そしてトランペッターのエリック・ミヤシロが率いるヤマハ・オールスタービッグバンドの3組が登場した。

ミヤシロが指揮するビッグバンドは一昨年に続いての出演で、サックスの本田雅人、寺地美穂、トランペットの山崎千裕(ちひろ)らのほか、トロンボーンの中川英二郎、ドラムの注目の若手、川口千里(せんり)らを新顔として迎えた。

また、3人組ロックバンド、シング・ライク・トーキングのボーカリスト、佐藤竹善(ちくぜん)が客演。英ロックバンド、クイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」などの洋楽ロック、ポップス曲をビッグバンドジャズのアレンジで熱唱して会場を沸かせた。

ステージで佐藤は「近年のポップス曲が、これからのスタンダードナンバーになる。僕は、ロックとポップスとジャズの橋渡し役になりたい」と語った。素材は常に新しく。ジャズを歌うことの一つの現代的な意味は、多分そこにある。

会場は、ヤマハのお膝元である静岡県浜松市のホール。今回はライブの模様をインターネットで配信したので、それを見た。全体の雰囲気は分かりにくかったが、演奏家に近接した映像が多いのが映像で見る面白さの一つ。

クイーンの楽曲を地声で歌い切る佐藤の音域の広さには改めて驚かされたが、それ以上に笑顔で楽しそうに歌い続ける姿が印象に残った。

また、佐藤が引っ込んだ後の「バードランド」では、ビッグバンドの全員が順番に独奏を披露。ここでも誰もが、いい笑顔を見せた。

演奏家の楽しさ伝わってくる演奏は、見て聴いているこちらもとても楽しい。この楽しさ、楽器メーカーが主催する公演なら、なおさら必要な要素かもしれない。

だとすれば、ジャズにおいてビッグバンドこそは、そういう楽しさ、音楽の迫力を伝えるのに最適の編成だろう。ぜひ、来年もビッグバンドで楽しく、そしてもっとダイナミックな演奏を聴かせてほしい。

24日、静岡県浜松市のアクトシティ浜松で。ヤマハ・オールスタービッグバンドの演奏は約1時間半。(石井健)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 【鑑賞眼】ヤマハ・オールスタービッグバンド 楽しさ伝えた佐藤竹善 - 産経ニュース )
https://ift.tt/3vYOPfB

No comments:

Post a Comment