国立競技場のピッチに立てば、100キャップに王手をかけることになる。
ワールドクラスのセカンドロー、ブロディー・レタリック(LO/キャップ98)は2012年のテストマッチでのデビュー以来、オールブラックスのFWを支えてきた。
10月29日(土)に日本代表と戦うニュージーランド代表は同24日、来日後初めてのチーム練習をおこなった。
そのトレーニング後、レタリックが報道陣の取材を受けた。
2019年のワールドカップ後に神戸製鋼に加入し、来日した同選手は、トップリーグで2シーズンを戦った。
来日中におこなわれた15戦(2季)全試合に出場したタフな男は、大好きだった地を再び踏み、「日本を離れて少し時間が経ったタイミングでの今回のツアー。エキサイティング」と話す。
「神戸は、私が初めて海外で暮らす機会でした。とても楽しい時間だった。その日本に戻ってきてテストマッチを戦う。充実した時間にしたいですね」
オールブラックスはこの1年、不調に陥ってきた。
アイルランドやフランス、南アフリカ、アルゼンチンに負けてNZ国民を落胆させた。
それだけに、日本戦で始まる北半球ツアーを成功させて2022年を終えたい気持ちは強い。
苦しみながらも、ザ・ラグビーチャンピオンシップでは頂点に立った。
レタリック自身、チームの調子が上向きになってきたと考える。「なので、いまの調子、雰囲気を継続してツアー全体を成功させたい」と話す。
チームは、過去に経験したことのない敗戦の多さに揺れた。
ただ崩壊はしなかった。あらためて絆を強くし、自分たちのやりたいスタイルを見つめ直した。
更迭されたコーチの代わりに新たに加わった指導者の力もチームの追い風となった。
2019年のワールドカップ時にはアイルランドの指揮官を務めていたジョー・シュミットが指導陣に加わった。
レタリックは、「ジョーは特にアタックの部分で新たなものを付け加えてくれた。学校の先生だったこともあり、指導が細かい。チームとして取り込めたものを、この先のツアーで、より確かなものにしていきたい」と言う。
オールブラックスにとって過去に戦ってきた日本とのテストマッチは、どの試合もスコアが大きく開いたものばかりだ。
黒衣の側にとっては、モチベーションの高め方が難しいのではないか。
しかし2014年のワールドラグビー年間最優秀選手にも選ばれた204センチのビッグマンは、すべての試合について取り組み方は変わらないと言う。
「私たちには毎週試合をする時、自分に任された役割やパートがある。一人ひとりが、それをきちんとやるように追求しています。私であれば、それはセットプレーであり、ボールキャリー、そしてディフェンス。どんな相手でもスタンダードを落とさずにそれらを遂行する」
そこにこだわるのだから、モチベーションはいつも高い。
日本代表には、気になる選手たちが何人もいる。
ワーナー・ディアンズは、幼い頃の姿を知っている。ホークスベイ代表での活動時、ワーナーの父・グラントさんがS&Cコーチを務めていた縁だ。
LOで競り合う可能性もある。
「神戸でともにプレーしていた山中(亮平)もいますね。李承信は、私が在籍していた時は、まだ19歳でした。その彼がオーストラリア(A代表)相手にプレーしていた。(対戦もあるかもしれないので)楽しみです」
すべての質問に落ち着いて、堂々と答えていた。
リアルロックの価値は、100キャップを超えてさらに重みが増しそうだ。
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