17歳の少年が祖父母を殺害するという、実際に起きた事件に着想を得た映画「MOTHER マザー」に出演した奥平大兼(おくだいら・だいけん)。初めての映画出演ながら、シリアスな物語に挑んだ撮影期間のこと、そして、母親役の長澤まさみとの共演について聞いたほか、16歳の少年らしい素顔にも肉迫した。
お芝居に圧倒されっぱなしでした
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――作品を拝見しましたが、とても心が痛くなる内容でした。完成したものを見た感想から聞かせてください。
自分の演技を見るのが初めてだったので、めちゃめちゃ恥ずかしかったです。
――撮影は約1年前に行われたそうですが、当時のご自身を見てどんなことを?
ここがダメだったなと感じるところはありましたが、現場がとても楽しかったので、もう一度戻りたいっていう思いはあります。
――あれだけヘビーな内容なのに、楽しかったのですか?
そうなんです。僕自身もまさか、この作品で楽しさを感じるとは思っていませんでした。確かに、考えさせられる内容や役柄だとは思うんですが、本当に楽しかったんですよ。
映画も初めてなら演技自体も初めてだったので、最初はぜんぜんうまくいかなかったんですけど、慣れていくにつれて次はこう演じてみようなどと考えることがどんどん楽しくなってきて、欲みたいなものが芽生えていきました。
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――出演はオーディションで決まったんですよね。
初めてのオーディションだったのでとにかく怖かったし、失敗したくないし、かといってうまくこなせる自信もなくて。でも、経験しなくてはならないこと、僕にとって乗り越えなくてはいけない壁だったので、できるだけミスをしないようと思いながら臨みました。
――現場ではいろんなことを体験したと思いますが、特に印象に残っていることは何ですか?
内容がヘビーなだけに現場も静かな雰囲気なのかなって考えてたんですけど、とにかく明るい現場で、スタッフの皆さんもとても優しかったです。プロの皆さんのお仕事を目の当たりにしたという印象でした。
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――周平の母・秋子に扮した長澤まさみさんと過ごす時間も長かったと思いますが、長澤さんの印象は?
テレビで見ててもおキレイなのはわかるんですが、実際に会うとキレイで可愛くて、最初は全然話せなかったんです。きちんとお話できるようになってからはユニークな話や、プライベートの話もたくさん聞かせていただけて、とても楽しい方でした。
一番長く一緒に演技をした方なので、シーンごとに受ける印象は違いましたが、とにかく迫力のある方でした。たとえセリフがないシーンでも、その迫力に圧倒されそうでした。
――秋子の内縁の夫を演じた阿部サダヲさんはいかがでしたか?
撮影中の僕をわざと笑わせてきたり、とても面白い方だったんですが、演技経験のない僕ですらも心を動かされるぐらい、迫真の演技を見せていただきました。
――阿部さんや長澤さんからお芝居に関するアドバイスなどはあったんでしょうか?
実はほとんどなかったんです。大森立嗣監督からも「自分が感じたことを素直に表現してね」とだけ言われていて、具体的に「こうやって」みたいなものは一切なくて。もし、指示されていたとしても、僕にはまだ技術がないのでできなかったと思います。
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――経験がないまっさらな状態だからこそ演じられた、周平という役だったのかもしれませんね。
自然にその場にいることしかできなかったので、ある意味それもよかったんだと思います。
――周平という役はどんなふうに奥平さんの中に浸透していったと思いますか?
自分から寄せていこうみたいな具体的なものは一切なく、あくまで周平としてその場に存在することを心がけていました。気を付けたのは食事制限ぐらいです。
食べるものも十分ではないという役柄なので、みんなでお弁当を食べる時も僕だけ食べなかったり、食べるとしても少しだけとか、夜は海苔を食べたり、炭酸水でお腹を膨らませたりして、どうしてもお腹がすいてしまう時は寝るようにしていました。食事だけはツラかったですね(苦笑)。
――食べ盛りの年代なのに。ご自身と周平に共通点はありましたか?
まったく…。性別が同じっていうことぐらいです。周平みたいに勉強熱心ではないですし、本を読むことは好きだけど、周平ほどではなく。真逆なことばかりですね。
――周平は、秋子からどんなに理不尽なことを強制されても母親に応えようとします。そんな周平の心理は理解できましたか?
撮影していた頃、僕自身もちょうど反抗期でお母さんのことがあまり好きではなかったんです。でも、この映画に携わってから母親と息子の関係について考えさせられましたし、親が子どものことをどんなふうに考えているかも知ることができた。お芝居とはいえ、周平として生きた期間を通して、親を思う気持ちにも納得できました。
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――私生活でもお母さんとの接し方は変わりましたか?
めちゃめちゃ変わりました。撮影前や撮影期間もお母さんとはめったに口をきかなかったんですけど、今では普通に会話するようになりましたし、反抗期以前に戻りました。
――役柄を私生活まで引きずるようなことはなかったですか?
ありましたね(苦笑)。約1ヵ月間、周平のキャラクターが僕にとって普通になってしまっていたので、撮影が終わった後もわりとおとなしめの性格になってました。
――最もショッキングなのは、クライマックスシーンだと思うのですが、どんな心情であの場面に臨んだのでしょう。
おじいちゃんの家に行く前、神社での周平は実行するのかしないのか考えています。もし、実行できなかったとしても秋子は「なんだよ」っていう一言で済ませたかもしれない。あの場面は周平同様、僕も追い込まれて、「やるのかやらないのか、どうしよう…」ということしか考えられませんでした。演技とはいえ、キツイものがありましたね。
現在の僕の“すべて”は音楽。洋楽、邦楽、クラシックと幅広いジャンルを聴きます
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――この作品には「こんな母親でも僕にとって世界(すべて)」というキャッチコピーがついていますが、今の奥平さんにとって“すべて”といえる存在は?
私生活でなくなってしまったら困るものは音楽です。何かをする前や移動中もずっと音楽を聴いていますし、それが僕にとって当たり前の生活なんです。
――どんな音楽を?
洋楽は以前から聴いていたんですが、最近はクラシックや邦楽も聴くようになりました。邦楽だとゲスの極み乙女。さんがすごく好きで、川谷絵音さんが他にやられてるバンドの曲も聴いています。クラシックはもともとピアノをやっていたこともあって、ショパンを主に聴きます。洋楽はザ・チェインスモーカーズの曲を聴きながら、この人とこの人がつくるとお互いの曲調が混ざってこんなふうになるんだなど、新しい発見をすることがとても楽しいです。
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――今作は奥平さんにとってデビュー作であり、忘れられないものになったと思いますが、“演じること”についてどんな思い出を残してくれましたか?
“演じる”というより周平として自然に過ごしていましたし、まわりからもずっと「周平」と呼ばれていたので、僕じゃない人の人生を約1ヵ月間過ごしていたという印象ですね。有意義で楽しい時間だったので、別の人の人生も生きてみたいって考えるようになりました。
――特にこの場面や演技に注目してほしいというポイントをあげるなら?
オーディションでも演じた、お母さんと一緒に橋の上を歩いているシーンですね。一番練習したシーンでもありますし、ただ歩いているだけに見えるかもしれないけど、内側ではいろんなことを考えていて、周平の葛藤が最も垣間見えるシーンなので注目してほしいです。
――では、コーナー名にちなんで奥平さんにとって“眼福”の存在は?
愛犬のトイプードル・クーちゃんです。名前はイタリア語のクオーレからきているんですが、家族の間ではクーちゃんとして浸透しています。もう8、9年ぐらい一緒に暮らしてるのかな。僕が小さい頃はよく噛みついてきたので大嫌いだったんですけど(苦笑)、最近になって急に可愛く見えてきたんですよ。休日はリビングでずっと一緒に遊んでます。
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――スタートしたばかりの俳優人生ですが、どんな俳優さんになりたいのか将来の夢を聞かせてください。
見た人に「この人はこんな役もできるんだ」って驚かれるような、どんな役柄にも染まれる俳優になりたいです。
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撮影:河井彩美
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July 02, 2020 at 04:06PM
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【眼福♡男子】Vol.22奥平大兼 長澤まさみの息子役で鮮烈デビューの16歳! 「演じるのではなく役として存在することを心がけた」 - フジテレビュー!!
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