政府が新型コロナウイルスの感染防止策として、外国人の入国を制限している間に、日本での留学や就職を取りやめた外国人は少なくないといわれる。3月に入国条件が緩和されたが、すでに渡航先を韓国に変えた事例も聞く。なぜ日本に憧れた人たちが夢を諦めなければいけなかったのか。
ドイツ南西部ラインラント・プファルツ州出身のカトリーヌさん(仮名、24歳)。初めて日本文化に触れたのは、幼い頃に人気アニメ「ポケットモンスター(ポケモン)」と「美少女戦士セーラームーン」を見た時だった。日本のアニメは「愛と友情の力」や「希望を捨てないこと」を教えてくれた。
「魔法の国」に魅惑され
子供心にこれらのアニメが作られた「魔法の国」をいつも夢に描いてきた。成長するに従い、日本のポップカルチャーに関心を持ち、日本の「美しい言語と伝統」にも魅了された。2018年、ついに観光で東京を訪れた。ドイツの街並みとは大きく違うが、東京の街の写真をネットでたくさん見てきたせいだろうか。「なぜか落ち着いた気持ちになり、自分の居場所があるような気がした」。会う日本人はみな親切だった。
「東京に住んでみたい」。帰国後、大学に通いながらバイトと貯金に励んだ。20年12月、「ほぼ全財産」を投じて都内の日本語学校の6カ月コースを受験し、無事合格した。
新型コロナの感染拡大が続いていたが、「永遠に(国境が)閉じているわけではない」と自分に言い聞かせた。21年8月には日本の在留資格証明書も手に入れたが、入国できる兆しは見えなかった。ようやく日本の感染者が減り、11月に一時的に入国条件が緩和された時には大泣きし、恋人と喜んだ。だが、すぐに変異株「オミクロン株」が流行し、国境は閉ざされてしまった。
簡単な手続きと良い対応が引き金に
今年10月からドイツで修士課程を始める予定なので、この先も待っている時間はない。今後のキャリアを考えると、日本に留学できないのならば、別の語学を学びたい。代わりの留学先を調べると、隣国の韓国ならばすぐ行けることがわかった。ドイツから入国する場合、昨秋から韓国で本格運用された電子旅行許可制を利用すれば、留学期間が3カ月でも渡航できる。
元々K-POPなどの韓国文化にも関心があった。「(入国までの)手続きが非常にわかりやすく、こんなに簡単に計画できるなんて本当に驚いた」。大学の人も快く対応してくれて「とても良い印象を抱いた。自分の選択は間違っていないのではないか」と思えてきた。
3月上旬に韓国に入国し、ソウルの語学学校で授業を受けている。「韓国語の勉強はとても楽しいです。日本語と似ているところが多く、日本語の勉強が役に立っています」と語り、数年後に再び韓国に戻って語学の勉強を深めるつもりだという。
日本への入国を待っていた間、知人から日本人が入国制限について、ほとんど知らない様子だと聞いた。「外国人がウイルスを持ち込む」という言説が流れても、日本政府がそれを止めなかったことにも疑問を感じている。「政府がもっと情報を公開し、科学的に対応すれば、人々の間にこれほど多くの誤解を生まなかったのではないか」と考えている。
追い込まれた末の渡航先変更
また、日本ではカトリーヌさんたちのような留学生に対し「本当に好きならば韓国には行かないのではないか」との声が上がったと耳にした。カトリーヌさんは「私たちには日本への愛と情熱があり…
からの記事と詳細 ( 令和の鎖国:ポケモンを愛したドイツ女性 なぜ留学先を隣国に変えたのか - 毎日新聞 - 毎日新聞 )
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