“マスク作り需要”にハマる…3月発売『簡単ミシン』注文殺到 かつて特許巡る大手玩具会社との闘いも（関西テレビ） - Yahoo!ニュース

外出自粛が呼びかけられる中、中高年や子育て世帯から注目を集めているのが、『マスク作り』。

　調査会社のデータによると、手芸用品の需要が前の年の同じ時期と比べ3月下旬にはおよそ2倍。4月に入るとおよそ3倍に急増しています（マーチャンダイジング・オン RDS-POS調べ）。

　大阪府内にある手芸用品の専門店を訪ねてみると…。

手芸用品店の担当者：
「4月7日に緊急事態宣言が発令された翌日から、さらに伸びたという感じです。今はマスク作りに関するものが多く出ています。ガーゼとか、マスクのゴムとか。マスク（関連商品を求める客）が9割くらいいらっしゃるんじゃないか」

手芸店を訪れた人：
「マスクを作ろうと思いまして。あまり暗い（生地）もどうかと思って、かわいく作れたら気持ちだけでも少し上がるかな」

別の人：
「手芸は今までやったことがないんですけど、チャレンジしてみようかなと思って。ガーゼの布がなかなか売り切れててなかったので」

　取材時、店内にはマスク用に使うゴムの在庫はわずか7本。品切れ中だったガーゼが入荷すると、瞬く間に売れていきました。

■材料揃った『子供用マスクキット』も登場

　そんな中、大阪市内のアパレル会社が4月にマスク作りの材料が揃った子供用のマスクキットを発売しました。

薄田キャスター：
「デザインの種類とか多いですね。一枚一枚すごくかわいいです」

　子育て世代に向けた婦人服を中心に製造・販売しているこちらの会社は、新型コロナウイルスの影響で休業中。

　そんな状況でも、子育てママを応援できないか、アパレル会社だからこそできることはないか…。そう考えて、余った生地を使い、子供用のマスク作りに乗り出しました。

ノースオブジェクト 後藤店長：
「もともと子どものマスクの数が少ないということがありました。作れるのがいいなということとか、なかなか上手く作れないという声があったので、このキットをきっかけに『おうちで作るのが楽しみです』という声もいただいてます」

　最初に作った30枚はすぐに完売したということです。

■初心者でもOK！注文殺到の簡単ミシン

　そして、マスク作りには欠かせないのがミシン。今大ヒットを生み出している会社が大阪市生野区にありました。

アックスヤマザキ 山崎社長：
「こちらが3月発売したばかりの『子育てにちょうどいいミシン』です。これが予想を3倍上回るような売れ行きで…」

　アックスヤマザキが製造・販売する「子育てにちょうどいいミシン」。難しい機能を一切省いたシンプルな動作と本棚にも入るコンパクトな作り。

　また、子どもが誤って触らないよう、針にガードもついていて、子育てママに人気です。さらにイマドキのニーズにも応えています。

アックスヤマザキ・山崎社長：
「スマホでQRコードを読み取ると、専用の動画サイトに飛びまして、その中で例えばマスクの作り方を見ることができます」

　そして針ガードは外すとスマホスタンドに。動画を見ながら作ることもできます。

　生産が追い付かないほどの人気（※現在は注文受付中止 5月下旬以降順次販売へ）なんだそうですが、たくさんのアイデアと、それを実現する技術が詰め込まれたこのミシンが生まれた背景には、まるであの有名なドラマのような話がありました。

■特許を守れ！下町企業VS海外大手企業

　急激な円安の影響で赤字に転落した5年前。父親から事業を引き継いだ山崎社長が、業績をV字回復させるきっかけとなったのが、子供用ミシンです。

アックスヤマザキ 山崎社長：
「これは市販の毛糸を使っていただくんですけど、本当に準備が簡単で、こういう風に、すっとこれだけで準備完了です」

　ミシンは通常、上糸と下糸を使いますが、このミシンは1本の毛糸を引っ掛けるだけ。さらに、5本の特殊な針を守るカバーがついているため、大人がそばにいなくても、安心・安全に子供がミシンを使うことができます。

山崎社長：
「目指したのは『究極のミシンごっこ』ですね」

　毛糸を使って生地や紙も縫うことができるというオリジナルのこの技術。「特許」も取得したのですが、なんとこの特許が海外の大手玩具メーカーから狙われたのです。

山崎社長：
「（2年前に）ある大手企業からこのミシンの特許を使いたいというような依頼を受けまして、私共としてはこのミシンを自分のアックスヤマザキとして販売したかったので、お断りしたんです。正直、ウチがその要請を断るとは思ってなかったと思うんですけど、それで驚かれたようで、結果的にはウチの特許を潰しにかかるといいますか…」

　使用要請を断られたことで牙をむき、その特許を無効にしようとする訴えを特許庁に起こした海外企業。

山崎社長：
「正直、アリと象って感じでしたね」

　大企業から派遣された知的財産のエキスパートたちは、「すでにある技術と同じで特許は無効だ」と主張しましたが、1年間に渡る争いの末、特許庁から、その新しさや有効性が認められ、特許を守ることができたのです。

　まさに『下町ミシン』。従業員20人に満たない小さな企業が守り抜いた、技術への思いとプライドが、大ヒットを生み出した秘訣なのかもしれません。

山崎社長：
「（子供が）嬉しそうな顔で作品を作って、それを見た親御さんがその顔を見てなんとも言えないような嬉しそうな顔をする姿を見た時に、これを作ってよかったと思いました」

（関西テレビ4月28日放送『報道ランナー』内「知っトク！ニュースなオカネ」より）

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May 09, 2020 at 05:01AM
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