
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。9月26日(日)の放送は、「村上RADIO~モーズ・アリソンを知っていますか?~」と題して、村上さんもファンだというジャズピアニストでボーカリストのモーズ・アリソンの名曲をアナログ盤でオンエア。村上さんが解説するモーズ・アリソンの足跡のエピソードや、名だたるアーティストがカバーした楽曲など、さまざまな視点からひもといていきます。 この記事では、オープニングトークと収録中のつぶやき、前半2曲についてお話された概要をお届けします。
こんばんは。村上春樹です。そろそろ夏も終わって、秋の気配も漂い始めました。じっくりと腰を据えて音楽を聴きたい季節ですよね。今日は、僕の好きなジャズ・ピアニストにしてボーカリスト、モーズ・アリソン(Mose Allison)の特集をします。モーズ・アリソンをご存じですか? おそらくご存じない方のほうがずっと多いと思います。今日、覚えてください。 なんで今、モーズ・アリソンなのか? 理由は簡単です。モーズ・アリソンの特集なんて、この番組でしかまずできないからです。モーズ・アリソン、ビッグネームでもないし、レコードがヒットしたわけでもないし、とくにお洒落なわけでもありません。でも密やかな一群の熱心なファンを持つ人です。そして何を隠そう、僕もそんなファンの1人です。モーズ・アリソンの特集をいつかやってやろうと機会をうかがっていました。今日はほとんど全部アナログLPでかけます。気に入っていただけるととても嬉しいです(にゃあ)。
◆Mose Allison「The Seventh Son」 ◆Mose Allison「I Love The Life I Live」 モーズ・アリソンは1927年にアメリカ南部、ミシシッピー州に生まれ、2016年に亡くなりました。5年前のことですね。彼が生まれ育った当時のミシシッピー州は黒人差別の厳しい保守的な土地柄だったんですが、そんななかで若いモーズは黒人音楽、とくにブルーズに強く心を惹かれていきます。幼い頃の彼が育った小さな田舎町は、黒人が人口の8割を占めていました。だから黒人音楽は、彼にとってごく自然に耳に入ってくるものだったんです。空気を吸い込むみたいに。それが彼の音楽の原体験になっています。 そして彼はその原体験をもとにして、自分だけのユニークな音楽体系を作り上げ、時代時代の流行や能書きに左右されることなく、一生その個人的なスタイルを守り続けました。頑固というか、反骨っていうか、たぶんあんまり器用な人ではなかったんでしょうね。 まずは若い頃の彼に強い影響を与えた、ブルーズシンガーで作曲家のウィリー・ディクスンの曲を2曲聴いてください。“The Seventh Son”「七番目の息子」と”I Love The Life I Live”「人生を愛する」をモーズ・アリソンがカバーします。黒人の歌うブルーズとはぜんぜん感じが違って、独特のからりとしたテイストがあります。聴いてみてください。
からの記事と詳細 ( 村上春樹「モーズ・アリソンをご存じですか?」自身のラジオ番組「村上RADIO」で特集(TOKYO FM+) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
https://ift.tt/3kGkC0M
No comments:
Post a Comment